モデル集合が不確かさを持つ制御対象を含んでいるならば,ロバスト制御理論で設計される補償器,モデル集合に含まれる全てのモデルに対して与えられた仕様を実現する補償器は, 制御対象に対しても与えられた仕様を実現する.しかしながら,実際の制御対象は非線形性を有するため,線形ロバスト制御理論が対象としている線形モデル集合には当然含まれない.
本講演では,多くの応用例で示されている非線形システムに対する線形ロバスト制御理論の有効性を議論する土台として,特別な非線形システムとパラメータ変動を持つ線形システムを対象に,振舞の観点から両者の包含関係を考察する.